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がくもんのすすめ

学問のすすめ

福沢 諭吉

「学問のすすめ」1872(明治5)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页

青空文庫

一身独立して一国独立すること

道理に戻りて曲を蒙るの日に至りては、世界中を敵にするも恐るるに足らず。初編第六葉にも言えるごとく、「日本国中の人民一人も残らず命を棄てて国の威光を落とさず」とはこの場合なり。しかのみならず、貧富・強弱の有様は天然の約束にあらず、人の勉と不勉とによりて移り変わるべきものにて、今日の愚人も明日は智者となるべく、昔年の富強も今世の貧弱となるべし。古今その例少なからず。わが日本国人も今より学問に志し気力を慥かにして、まず一身の独立を謀り、したがって一国の富強を致すことあらば、なんぞ西洋人の力を恐るるに足らん。道理あるものはこれに交わり、道理なきものはこれを打ち払わんのみ。一身独立して一国独立するとはこのことなり。

一身独立して一国独立すること

前条に言えるごとく、国と国とは同等なれども、国中の人民に独立の気力なきときは一国独立の権義を伸ぶること能わず。その次第三ヵ条あり。

第一条 独立の気力なき者は国を思うこと深切ならず。

独立とは自分にて自分の身を支配し他によりすがる心なきを言う。みずから物事の理非を弁別して処置を誤ることなき者は、他人の智恵によらざる独立なり。