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がくもんのすすめ
学問のすすめ
福沢 諭吉
「学問のすすめ」1872(明治5)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页
これすなわち報国の大義なり。
もとより国の政をなす者は政府にて、その支配を受くる者は人民なれども、こはただ便利のために双方の持ち場を分かちたるのみ。一国全体の面目にかかわることに至りては、人民の職分として政府のみに国を預け置き、傍よりこれを見物するの理あらんや。すでに日本国の誰、英国の誰と、その姓名の肩書に国の名あればその国に住居し、起居眠食、自由自在なるの権義あり。すでにその権義あればまたしたがってその職分なかるべからず。
昔戦国の時、駿河の今川義元、数万の兵を率いて織田信長を攻めんとせしとき、信長の策にて桶狭間に伏勢を設け、今川の本陣に迫りて義元の首を取りしかば、駿河の軍勢は蜘蛛の子を散らすがごとく、戦いもせずして逃げ走り、当時名高き駿河の今川政府も一朝に亡びてその痕なし。近く両三年以前、フランスとプロイセンとの戦いに、両国接戦のはじめ、フランス帝ナポレオンはプロイセンに生け捕られたれども、仏人はこれによりて望みを失わざるのみならず、ますます憤発して防ぎ戦い、骨をさらし血を流し、数月籠城ののち和睦に及びたれども、フランスは依然として旧のフランスに異ならず。