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がくもんのすすめ

学問のすすめ

福沢 諭吉

「学問のすすめ」1872(明治5)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页

青空文庫

ついにその商社の分散するに至らば、その損亡は商社百人一様の引受けなるべし。愚もまたはなはだしきものと言うべし。ゆえに国法は不正不便なりといえども、その不正不便を口実に設けてこれを破るの理なし。もし事実において不正不便の箇条あらば、一国の支配人たる政府に説き勧めて静かにその法を改めしむべし。政府もしわが説に従わずんば、かつ力を尽くしかつ堪忍して時節を待つべきなり。

第二 主人の身分をもって論ずれば、一国の人民はすなわち政府なり。そのゆえは一国中の人民悉皆政をなすべきものにあらざれば、政府なるものを設けてこれに国政を任せ、人民の名代として事務を取り扱わしむべしとの約束を定めたればなり。ゆえに人民は家元なり、また主人なり。政府は名代人なり、また支配人なり。譬えば商社百人のうちより選ばれたる十人の支配人は政府にて、残り九十人の社中は人民なるがごとし。この九十人の社中は自分にて事務を取り扱うことなしといえども、己が代人として十人の者へ事を任せたるゆえ、己れの身分を尋ぬればこれを商社の主人と言わざるを得ず。またかの十人の支配人は現在の事を取り扱うといえども、もと社中の頼みを受けその意に従いて事をなすべしと約束したる者なれば、その実は私にあらず、商社の公務を勤むる者なり。