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がくもんのすすめ

学問のすすめ

福沢 諭吉

「学問のすすめ」1872(明治5)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页

青空文庫

寒中に裸体にて氷の上に臥しその解くるを待たんとするも人間にできざることなり。夏の夜に自分の身に酒を灌ぎて蚊に食われ親に近づく蚊を防ぐより、その酒の代をもって紙帳を買うこそ智者ならずや。父母を養うべき働きもなく途方に暮れて、罪もなき子を生きながら穴に埋めんとするその心は、鬼とも言うべし、蛇とも言うべし、天理人情を害するの極度と言うべし。最前は不孝に三つありとて、子を生まざるをさえ大不孝と言いながら、今ここにはすでに生まれたる子を穴に埋めて後を絶たんとせり。いずれをもって孝行とするか、前後不都合なる妄説ならずや。畢竟、この孝行の説も、親子の名を糺し上下の分を明らかにせんとして、無理に子を責むるものならん。そのこれを責むる箇条を聞けば、「妊娠中に母を苦しめ、生まれて後は三年父母の懐を免れず、その洪恩は如何」と言えり。されども子を生みて子を養うは人類のみにあらず、禽獣みな然り。ただ人の父母の禽獣に異なるところは、子に衣食を与うるのほかに、これを教育して人間交際の道を知らしむるの一事にあるのみ。

しかるに世間の父母たる者、よく子を生めども子を教うるの道を知らず、身は放蕩無頼を事として子弟に悪例を示し、家を汚し産を破りて貧困に陥り、気力ようやく衰えて家産すでに尽くるに至れば放蕩変じて頑愚となり、すなわちその子に向かい