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がくもんのすすめ
学問のすすめ
福沢 諭吉
「学問のすすめ」1872(明治5)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页
昔日は世の事物みな旧格に制せられて有志の士といえども望みを養うべき目的なかりしが、今や然らず、この制限を一掃せしより後は、あたかも学者のために新世界を開きしがごとく、天下ところとして事をなすの地位あらざるはなし。
農となり、商となり、学者となり、官員となり、書を著わし、新聞紙を書き、法律を講じ、芸術を学び、工業も起こすべし、議院も開くべし、百般の事業行なうべからざるものなし。しかもこの事業を成し得て、国中の兄弟相鬩ぐにあらず、その智恵の鋒を争うの相手は外国人なり、この智戦に利あればすなわちわが国の地位を高くすべし。これに敗すればわが地位を落とすべし。その望み大にして期するところ明らかなりと言うべし。もとより天下の事を現に施行するには前後緩急あるべしといえども、到底この国に欠くべからざるの事業は、人々の所長によりて今より研究せざるべからず。いやしくも処世の義務を知る者は、この時に当たりてこの事情を傍観するの理なし。学者勉めざるべからず。
これによりて考うれば、今の学者たる者はけっして尋常学校の教育をもって満足すべからず、その志を高遠にして学術の真面目に達し、不覊独立もって他人に依頼せず、あるいは同志の朋友なくば一人にてこの日本国を維持するの気力を養い、もって世のために尽くさざるべからず。