轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

吉川英治『宮本武蔵(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵、宮本武蔵。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 页

青空文庫

……どうしても」

「強情だのう」

「え。強情です」

「じゃあ……」

と、ついに、沢庵は折れて、

「お通さんが、自分で吹いてくれてもよい。何か、一曲」

「嫌です」

「それもいやか」

「ええ」

「どういう理で」

「涙がこぼれて吹けませんもの」

「ウム……」

孤児は、頑固なものと、沢庵は憐れにもなったが、その頑固な心の井戸はつねに冷たい空虚をいだき、そして何かに渇いている。また、孤児が持たないものを、常に深く強く望んでいることがふと思われた。

それは、孤児に恵まれていない愛の泉であった。お通の胸にも、お通の知らない幻覚だけの親たちがいて、こうしている間も絶えず、呼びかけたり呼びかけられたりしているらしいが、彼女は、その骨肉の愛も知らない。

笛も、実はその親の遺物なのである。たッた一つの親の姿が笛だった。――彼女がまだ、世の光もよく見えないでいた嬰児の頃、七宝寺の縁がわへ、猫の子みたいに捨て児されてあったとき、帯に、この一管の笛が差してあったのだという。

してみると、その笛は、彼女に取っては、寔に、将来、自分の血液のつながりを捜し求める唯一の手がかりでもあるし、また、こうしてまだ相見ぬうちは、笛こそ親の姿であり、笛こそ親の声でもある。