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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

吉川英治『宮本武蔵(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵、宮本武蔵。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 页

青空文庫

四

「うむ、参ろう。酒や折詰のしたくをしておけ」

「じゃあ、お風呂もわかさなければ」

「うれしい」

朱実とお甲と、今朝は、この母娘ばかりがはしゃいでいた。

四

出雲巫子の阿国の踊りは、近ごろ、町のうわさを風靡していた。

それを真似て、女歌舞伎というものの、模倣者が、四条の河原に、何軒も掛床をならべ、華奢風流を争って、各※(二の字点、1-2-22)が、大原木踊りとか、ねんぶつ舞とか、やっこ踊りとか、独創と特色を持とうとしている。

佐渡島右近、村山左近、北野小太夫、幾島丹後守、杉山主殿などとまるで男のような芸名をつけた遊女あがりの者が、男扮装で、貴人の邸へも、出入りするのを見かけられるのも、近ごろの現象だった。

「まだか、支度は」

もう陽は午刻をすぎている。

清十郎は、お甲と朱実が、その女歌舞伎を見にゆくために、念入りなお化粧をしている間に、体がだるくなって、また、浮かない気色になった。

藤次も、ゆうべのことが、いつまでも頭にこびりついていて、彼独特な調子も出ないのである。

「女を連れてまいるもよいが、出際になって、髪がどうの、帯がなんの、あれが、実に男にとっては、小焦れッたいものでござる」