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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

吉川英治『宮本武蔵(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵、宮本武蔵。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 页

青空文庫

旧序

けれど正しい志向のもとに今日の世界観、社会観をもって来た読者には、もう剣なるものが過る憂いなどはないものと信じる。読者は娯楽するところに娯楽し、夢みるところに夢み、現実に照合しながら、読書味の自由に遊ぶのではないかとおもう。

もとより武蔵の剣は殺でなく、人生呪咀でもない。

護りであり、愛の剣である。自他の生命のうえに、きびしい道徳の指標をおき、人間宿命の解脱をはかった、哲人の道でもある。

画人としての武蔵、文雅の余技面の彼は、その晩年期なので、小説宮本武蔵のうえでは、武蔵野屏風を描いたこととか、観音像の彫刻をした程度の、初期の文化的知性の芽ばえしか出ていない。

またかれの恋愛なども、かれとしての一型であって、強いたり教えたりしているものではない。しかし、現代の恋愛観の相映鏡にはなるであろう。合せ鏡に焦点をとらえる角度は、たれにでも自由である。

かれの姿を、現代と昔との二面鏡にとらえてみても、彼の剣が単なる兇器でないことは誰にも分ることとおもう。

昭和二四・二月  於、吉野村

旧序

宮本武蔵は、いつか一度は書いてみたいとのぞんでいた人物の一人であった。