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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

にまっすぐに落ちる。その場合いかにして元子相互間の衝突が可能となるか。この困難を切り抜けるために持ち出された一つの今から見て奇抜な考えは、この元子のおのおのはその直線的並行落下の途中で、ある不定な時、不定な場所において、おりおり、きわめて少しその経路を曲げるというのである。

しかし各種元子の中で、重いのと軽いのとで各自の落下速度がちがうとすれば相対距離が変化するから相互の衝突が起こりうるではないかという人があるだろう。しかしそれは誤っている。なんとならば、真空中では抵抗がないから、すべての元子は同速度で落下するからである、とルクレチウスは断言している。彼がおそらくなんの実験にもよらずしていかにしてこの落体に関するアリストテレスの誤謬を認め得たかはわからない。しいて想像すれば空気中と水中とにおける落体の偶然な観察が彼の直覚を誘発したかもしれない。

元子が互いに衝突するために物が生成し変転するという考えと元子が同速度で並行に動くという考えとの矛盾を融和するために持ち出されたこの原子の偶然的任意的偏向を一転して「自由意志」の存在と結び付けようとしている。