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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

この金米糖のできあがる過程が実に不思議なものである。私の聞いたところでは、純良な砂糖に少量の水を加えて鍋の中で溶かしてどろどろした液体とする。それに金米糖の心核となるべき芥子粒を入れて杓子で攪拌し、しゃくい上げしゃくい上げしていると自然にああいう形にできあがるのだそうである。

中に心核があってその周囲に砂糖が凝固してだんだんに生長する事にはたいした不思議はない。しかしなぜあのように角を出して生長するかが問題である。

物理学では、すべての方向が均等な可能性をもっていると考えられる場合には、対称の考えからすべての方面に同一の数量を付与するを常とする。現在の場合に金米糖が生長する際、特にどの方向に多く生長しなければならぬという理由が考えられない、それゆえに金米糖は完全な球状に生長すべきであると結論したとする。しかるに金米糖のほうでは、そういう論理などには頓着なく、にょきにょきと角を出して生長するのである。

これはもちろん論理の誤謬ではない。誤った仮定から出発したために当然に生まれた誤った結論である。このパラドックスを解く鍵はどこにあるかというと、これは畢竟、統計的平均についてはじめて言われうるすべての方向の均等性という事を、具体的に個体にそのまま適用した事が第一の誤りであり、次には平均からの離背が一度でき始める