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こさかいふぼくしゅうはしがき

少年科学探偵

小酒井 不木

小酒井不木『少年科学探偵』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「小酒井不木集」はしがき、深夜の電話、紅色ダイヤ、暗夜の格闘、髭の謎、墓地の殺人、塵埃は語る、白痴の知恵、玉振時計の秘密、頭蓋骨の秘密、自殺か他殺か、『少年科学探偵』序、紫外線、現場の写真、科学的研究と探偵小説。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 152,885 字 · 308 页

青空文庫

第五回

一

「それは今にH軒へ行けば分かることだよ。さあ早く食事を済まして、女給の寝込みを襲おうではないか」

私たちはやがて自動車に乗ってH軒へ駆けつけました。果たして例の女給は眼を擦りながら、我々を迎えました。俊夫君は彼女を片隅へ呼んでまず大村氏の写真を、横顔と正面の顔と二枚とも差しだしました。

「この人に見覚えはありませんか」

女給は二枚の写真を、代わる代わる見つめておりましたが、静かに首を振りました。

「こんな人、一度も見たことがありません」

そこで俊夫君は、髭の生えている石川氏の写真を出して、正面の顔と横顔とを、女給の前へ突きつけました。が、やはり静かに首を振りました。そこで俊夫君は、

「ではこの人は?」

と言って、髭をとり、丸刈りにさせた写真を示しました。

すると女給の顔にはにわかに緊張の色が現れました。彼女はその横顔の方を手に取りあげ得意そうに叫びました。

「この方です。殺された方と一緒に食事をなさったのはこの人です」

第五回

一

H軒の女給の言葉によって、殺された男と先夜一緒に食事した相手が、大村歯科医の家にいたことのある石川五郎という、性質のあまり善良でない男だと分かった時、俊夫君がいかに喜んだかは、読者諸君にも想像されることと思います。