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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页
外見よりも内部は立派な構えであったが、私達は別に東の方に建てられた新らしい離家に案内されて、暢び暢びと一夜を過したのみならず、道すがら羨望して止まなかった草餅までも馳走されたのは、こよなき仕合せであった。南に面した座敷からは、一目に裾野が見渡された。村では水が極めて潤沢に流れている。それが村を離れると直ぐ地下水となって、一里余り南の猪之頭で再び湧出する。村の北にある十丈近い大瀑も、落ちると間もなく地下に浸透しているのには驚いた。猪之頭はつまり井の頭で、井出と同様に水の湧き出していることを示す地名である。近年猪之頭を中心として、水の公園が造られたとの話を聞いた。
炉端で草餅を摘みながら主人に山のことを質した。土地では毛無山の名を知らない、大方山と呼んでいる。恐らく毛無という名は測量部の称呼であろうとのことであった。此山は相模野の基線から出発した一等三角点で、其建設は明治十七年であった。尤も其以前に那須野の基線からする内務省の一等三角点として用いられていたので、其当時は南面が茅戸であった為に、三峠の毛無山と同様に、便宜上毛無と呼ばれたものと思われる。