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ぞくほうしこう
差別の根源を考える
喜田 貞吉
喜田貞吉『差別の根源を考える』。同一底本的分册已合并为一书。收入:俗法師考、融和促進、融和問題に関する歴史的考察。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,985 字 · 289 页
さらに昔の国内の戦争が、いかに多数の落伍者を作ったかは、今さら言うまでもありますまい。戦場となった所では、村落や田畠が無残にも荒らされる。住民は人夫に徴発されたり、その貯えを掠奪されたり、側杖を喰って生命をまでも失ったりするばかりでなく、永く戦争が続いたような場合には、一般に産業がはなはだしく衰える。すべてが貧乏してしまう。のみならず、戦敗者の側に立った人々は、実にみじめなもので、幸いに生命の助かった落人も、いわゆる尾羽打ち枯らした浪人として、吹く風の音にも心を配りつつ、世を忍んで生きて行かねばなりません。前にも申した通り、今も現にいわゆる特殊部落のあるものが、往々にして平家の落人だなどと称しているのも、必ずしもよい加減のものだとのみ言われぬ場合もありましょう。
最後に、専制時代における統治者の圧制が、いかにはなはだしく良民を苦しめたかは、これまたほとんど想像以上のものでありました。外面いかにも華やかに見える平安朝時代においても、その華やかなのは実は上流貴族社会にのみ限られたものであって、一般庶民はほとんどこれに与りませんでした。承和といえばまだ政治もそう紊れぬ古い時代でありましたが、その九年に京都の鴨河原や島田に転がっていた髑髏の数が、五千六百余頭もあったというほどです。