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ぞくほうしこう

差別の根源を考える

喜田 貞吉

喜田貞吉『差別の根源を考える』。同一底本的分册已合并为一书。收入:俗法師考、融和促進、融和問題に関する歴史的考察。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,985 字 · 289 页

青空文庫

もっていかに庶民の生活が悲惨であったかが察せられましょう。この頃には人が死にましても葬ることもせず、野原や河原へ持って行って、屍骸を捨てるのが普通でありました。路の傍に行き倒れても、収めるものすらなかったほどでありました。ことに藤原氏が専横をきわめて、争って天下の土地を占有するようになりましては、公民たる農民も事実水呑百姓の状態になってしまいました。こうなっては公民という資格はもはや何の役にも立ちません。しかもその肩書きがあって、国家の戸籍帳簿に載っているばっかりに、地方官からは何かと名をつけてしきりに取り立てられます。人足に徴発せられます。国家の保護を受けることは少くて、苦しめられることが多いのです。それがつらさに、どうかして役にも立たぬ公民権を捨ててしまおうとしましても、ちょうど潰れた会社の新株を持っていて、捨てようとしても容易に捨てることができないで、あとへあとへと払込みさせられると同じように、いつまでもいつまでも責め立てられます。そこでやむをえず、頭を丸め、法衣を着て、廻国の修行者となって、浮浪の旅に出かけます。つまり郷里を逃亡するのです。