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ぞくほうしこう
差別の根源を考える
喜田 貞吉
喜田貞吉『差別の根源を考える』。同一底本的分册已合并为一书。收入:俗法師考、融和促進、融和問題に関する歴史的考察。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,985 字 · 289 页
日蓮聖人は漁師のお子でおわしたから、御自身の書かれたものに、御自分のことを「旃陀羅の子なり」とも、また「旃陀羅の家より出づ」とも言われておりますが、これはエタの子という意味です。しかし一方では、「身は人身にして畜身なり」とも、また「畜生の身なり」とも言われまして、人間でない畜生だ、非人だという意味を表わされております。これも非人をただちにエタといって、その間に差別をしなかった一つの証拠であります。そこで世間には、日蓮聖人はエタの子だなどと、よく悪口を言うものがありますが、広い意味からこれを言えば、魚類を殺す漁師もやはり一種の屠殺業者でありますから、それでエタだと言われたと解して差支えないかもしれませんが、しかし後世普通にいうところのエタとは、違った意味のものであることは申すまでもありません。
しからば何故に非人を、一つにエタともいったでありましょう。これには言葉の上に古今の沿革があります。
エタとは元来「餌取」ということで、鷹に喰わせる餌を取ることを職としたもの、すなわち後世の「餌差」というと同様の職人のことでありました。後世ではもっぱら雀をもって鷹の餌となし、その雀を鳥黐で差して取りますから、それで餌差ということになったのですが、昔は鷹の餌は普通死牛馬の肉を用いたものでありました。