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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页

青空文庫

余りに女らしく、いたいたしい仕えを見せていたのは年上のせいであったろうが、年上の夫人を持つということにも、たいへん劬りを見せねばならぬことをこの夫妻の上にみとめた。私は好感をもって此のいたいたしい夫人を見ていたが、百田宗治はしをりさんにはお前とか君とかは言わず、あんた、あんたと呼んでいた。そのあんた、あんたという呼び方は不自然ではなく、結局、あんたと呼ばなければならないあんたであった。このあんたさんは大阪で或る事情から相当以上の遺産をうけとっていて、その金が二人の間にらくにつかわれ、百田もその事には拘泥わらずに、しをりさんも気持よく百田のためにというのではなく、自分自身のために愉しくつかっていた。こんなところから、あんたという言葉が出たのかも知れぬが、やはり大阪人のやさしい交際の最初からつかわれていた言葉として、これを見た方がいいのであろう。も一つは、年上だったせいもあって、あんたはん呼ばわりが続いたのであろう、夫婦の仲でも年をとり地位というものの出来た人達は、おくさんをだんだんに、あんたと呼ぶようになるようだ、それもあなたのなのところを「あんた」