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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页

青空文庫

全く彼ほど友人にめぐまれている人は尠ない。武者小路実篤、長与善郎、岸田劉生、福士幸次郎、尾崎喜八、宮崎丈二の諸君である。武者小路実篤は彼の詩集を編輯出版しているし、尾崎、宮崎は死後その編著にちからを容れている。

千家は明治二十一年六月、東京で生まれた。父は旧男爵千家尊福だが出雲大社に関係のある人で、千家は父から毎月の生活費を長年期に亙って貰い受けている。そうでもなかったら貧困であったにしても、都会生活を支えることは容易でなかったであろう。構わない人だけに自分は困っていても、夫人を窮せしめないように努め、我慢に我慢をし自分の健康に眼を向けることも、つい怠りがちであったらしい。彼の詩に東京北郊の庶民生活がよくうたわれ、そんな町を何時もぶらぶらしている姿の見えるのは、賑かさも愛するが一種の厭人風な散歩が、生涯をつらぬいている。他人には莫迦々々しい失敗も、いかにも千家らしいという特別な見方と解釈は、やはり千家の生活に尾いて廻っていた。誰でも彼を許し、これを愛さずにいられない風であり、そして柔しくしたいという好奇を対手方に、そっと生みつけるような男である。