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しんこざいくれんがのみちすじ
新古細句銀座通
岸田 劉生
「東京日日新聞」1927(昭和2)年5月24日~6月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,580 字 · 45 页
おもいで(一)
おもいで(一)
私は明治二十四年に銀座の二丁目十一番地、丁度今の服部時計店のところで生れて、鉄道馬車の鈴の音を聞きながら、青年時代までそこで育って来た。だから銀座のうつりかわりは割合にずっと見て来ている訳であるが、しかし正確なことはもとよりわからない。が、「煉瓦」と呼ばれた、東京唯一の歩道時代からのいろ/\のうつりかわりにはまた語るべきことも多い様である。いろいろの思い出やら、変り行く世の姿から思い起す批評などとりとめもなくかいてみようと思う。
御承知の方々も多いと思うが私の生家は目薬の精※(「金+奇」、第3水準1-93-23)水の本舗であって、岸田の楽善堂というよりも精※(「金+奇」、第3水準1-93-23)水といった方が通る位の店であった。父(吟香)の道楽から店を半分に切って一方を薬房、一方を書房とし、書房では支那の筆墨硯紙その他文房具風のものや、書籍などを売っていた。唐紙の様な紙を太くこよりの様にしたのに火をつけ、フッと吹くと、ポッと燃えフッと吹くと消えるという様なものがあったりして、面白がってそれをやって遊んだこともある。よく支那人が買いに来ていて番頭さんが片言で「鎮座々々」