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しんこざいくれんがのみちすじ

新古細句銀座通

岸田 劉生

「東京日日新聞」1927(昭和2)年5月24日~6月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,580 字 · 45 页

青空文庫

銀ぶら道中記(三)

そこにはまた、父が山本芳翠さんに描いてもらったダイアナ裸女が天上に半月を弓にして引いている図が出ていた、これは、昔宅の書房のところにかけておいたものだが、裸体画であるところから警察から出しておくことを止められたため、久しく物置に入れてあったのを古くなったので、磯ヶ谷へなおし方々あずけてあったものとか後に聞いた。

この入場料が三銭だったか六銭だったか、私は毎日見に行かずにいられないので母に銭をもらっては、それをつかんでひた走りに走ってそこまで行ったものだ、木戸番をしているのが人のよさそうな老人で、しまいには私の熱心に動かされ「坊ちゃんもう銭はいらないよ」と大びらに木戸御免にしてくれたのは実に光栄であり又うれしかった。

ここの近くだったか、尾張町一丁目だったかに、鯛みそを売る店があって、その看板が赤い鯛の鱗が金すじで彫ってあった。その鯛の彫りものと看板が好きでいつも私はそれに見とれた、その隣がジャパンタイムス社とかで、人々呼んでタイミソ新聞といったとは外骨氏の書で読んだところである。

銀ぶら道中記(三)

松坂屋は松屋とともに銀座の大名物である。ここの建築は何といっても銀座通り洋風建築の中最も美しいものであろう。