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しんこざいくれんがのみちすじ
新古細句銀座通
岸田 劉生
「東京日日新聞」1927(昭和2)年5月24日~6月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,580 字 · 45 页
銀ぶら道中記(十)
という。頭に氷袋をつけたまま私は走って岩谷の店先に行って、それが依然として赤いのをみて非常に憤慨して帰って来た。とも角も、松平翁は一種の鬼才を持ったえら物であったのだろうと思われる。
さえぐさも古く玉屋も古い。玉屋の昔の建物はおとなしい明治味の洋館で、また油絵々具の最初の輸入店の一つとしてわれ/\が忘れられない店である。伊東屋もちょっと古いが、そのわきの松島眼鏡店がまた古い。更に丸八に至っては一層古く、江戸時代からの店と聞く、ここの店は一丁目のつやぶきんの佐々木とともに、銀座の名物として今なお名高い。ここの番頭さんに前田さんという非常な劇通がいて、芝居で分らぬことがあるとこの人に聞きに来るとか、いかにも丸八の番頭さんらしくて面白い。
書く程どうも長くばかりなってしまう。何しろ銀座の事を書くとなると、思ったより書く事が多くなってしまう。もう予定の紙数の倍になってしまったから、あとは惜しいがざっとかいて筆を止めよう。
銀ぶら道中記(十)
十字屋も古い店で、もとはキリスト教的な色彩のあった店、ここの店窓の一円のわにのおもちゃがあって弟とそれをほしがったものだ。