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しんこざいくれんがのみちすじ

新古細句銀座通

岸田 劉生

「東京日日新聞」1927(昭和2)年5月24日~6月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,580 字 · 45 页

青空文庫

ライオンへはその頃よく生ビールをのみに行ったもので、よくそこで、高村光太郎君に会いビールのコップを林立させたものであった。高村君はあの温容をもって黙々としてただビールをのんでいた、ここの美人が今のタイガーのそれの如くに評判になり出したのはもう少しおくれてからのことで、その頃はもうあまりここへ行かなくなっていた。

木村屋というパン屋は天下に有名であって、私共子供にとっては忘れられぬパンの幾種類かの製造元である。へそパンというのは甘いややかたい丸いパンの中央に干葡萄が一つ入っている、つまりそれが臍なのである、束髪パンというのは、イギリス巻のまげの形をしているのに所々にやはり干葡萄が入っている、大パンというのはパンの形の大きいので※(「飮のへん+稻のつくり」、第4水準2-92-68)ぬきである。木の葉のパンは名の如く木の葉の形をしており、ただの堅パン質のと、※(「飮のへん+稻のつくり」、第4水準2-92-68)の入ったのと二つあった。

「西洋のパン、アメリカのパン、木村屋のパン」という一種の唄?は明治時代を子供で過ごした人の頭に残っている唄だと思うがそれ程木村屋のパンは人口にうたわれた。