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しんこざいくれんがのみちすじ
新古細句銀座通
岸田 劉生
「東京日日新聞」1927(昭和2)年5月24日~6月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,580 字 · 45 页
銀ぶら道中記(九)
どこか鈍く、だるく、すっきりとしない。そこへ行くと、西洋のそれ等は如何にも西洋らしくスッキリと、内からにじみ出た民族的の美がある。六十年の昔は日本の銭や小判は、恐らく世界に冠たるの美を持っていたものを。
銀ぶら道中記(九)
私はただ徒らに前に述べたようなことをいっているのではない。わが国貿易の輸出不振の可なり重大な原因がここにあるのではないかということを、誰か気のついている人があるであろうか。あの醜い桃色をして、安っぽい顔をしたセルロイドのキューピーをみる人は、日本の玩具が、世界の市場で不評判なのは、ただ破れ易いからばかりでないことを思いあわせねばなるまい。
しかし、六十年の年月は、さすがに、近頃日本の或一部の内に、内からなる洋風審美の芽が生えて来た。これは一と昔前の日本婦人の洋装と、今日のそれとを思い比べてみれば、おのずと知ることが出来よう。企業家がこの方面にも目をつけるということは、あながち不必要のことではあるまいと思われる。
銀座三丁目の角が松屋である。松屋についてはもう別にかかなくてもいいようだ。ここは旧の煙草専売局、その前が奇名一世に高かった大山師の岩谷松平翁の天狗煙草である。