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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

壁のランプが妙にゆれていたわけも、すっかりわかりました。

「小父さん、なぜです。なぜ船を出してしまったんです。僕たちどうすればいいんです」

一郎君は真赤な顔になって、二人の大人を睨みつけました。

「ハハハハハハハ、今さらいくらわめいたって、泣いたってだめだよ。お前たちは今日からこの船のボーイをつとめるんだ。コックの手伝をして皿を洗ったり、御馳走を運んだり、それから、そっちの一番小さい可愛いの、お前は船長さまの部屋つきボーイにしてやろうとおっしゃるのだ。ありがたく思うがいい」

「いやです。僕たちは東京の小学生です。ボーイなんかになるのはいやです。船をもどして下さい」

「ハハハハハハハ、感心感心、お前はなかなか負けん気の小僧だねえ。だが、もう東京へは二度と帰れないんだ。支那にはね、お前たちぐらいの子供を買いたがっている親分がたくさんいるんだぜ。そして、立派な泥棒や、軽業師なんかに仕立てて下さるんだ。しばらくこの船で働いた上、お前たちはその親分に売られるんだよ。チンピラだってばかにはならねえ。なかなかいい値に売れるんだからねえ」

水夫長はにくにくしく言いはなって、髭の船長と顔見合わせ、又ゲラゲラ笑うのでした。