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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

鹿と鸚鵡

しかたがないので、そこに立ちどまって、なおしきりと「ポパイ、ポパイ」と呼びつづけていますと、やがて、ガサガサと木の枝のすれあう音がして、三人の目の前に、ヒョッコリ犬が姿をあらわしました。

少年たちは「アア、よかった」と思いながら、犬の頭をなでてやろうと、その方へ近づいたのですが、ふと犬の口もとに気がつきますと、三人は「アッ」と声を立てて立ちすくんでしまいました。

ごらんなさい。犬の口から下顎にかけて、真赤な血がしたたっているではありませんか。それに肩のへんや足などに傷が出来て、そこから血がふき出しています。

一体どうしたというのでしょう。ポパイは何ものと戦って来たのでしょう。動物にはちがいありませんが、それはどんな動物なのでしょう。もしかしたら恐しい猛獣に出あったのではないでしょうか。そして、その猛獣に追われて逃げて来たのではありますまいか。

三人はハッと目を見かわしました。そして、今にも、その恐しい奴が、むこうのしげみの中から、ヌーッと姿をあらわすのではないかと、思わず身がまえました。

鹿と鸚鵡

少年達は、今にもその猛獣が、ポパイを追っかけて、飛び出して来るのではないかと、思わず身がまえましたが、いくら待っても、何事も起らず、あたりはシーンとしずまりかえっているのです。