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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
大暗黒
大暗黒
みなさん、少年たちは火の柱に焼かれてしまったのでしょうか。いやいや、そうではなかったのです。勇敢な一郎君の、はたらきが、功を奏して、筏は火の柱からずっとはなれた、洞窟のすみを通りすぎたのです。
あまりの熱さ苦しさに、三人が三人とも気を失ってしまいましたけれど、けっして焼死はしなかったのです。筏は気絶した三少年を乗せて、たちまち火の柱をあとにし、非常な早さで、その恐しい地獄を遠ざかって行ったのです。
それから、どれほどの時がたったのか、少年たちは誰も知りませんでしたが、まず最初に気をとりもどしたのは、一番からだの丈夫な一郎君でした。
フッと目を開いて、あたりを見まわしましたが、そこには何もありませんでした。ただ一面の墨を流したような闇ばかりです。
「おや、僕はもう死んでしまったのかしら?」
一郎君がそう思ったのもむりはありません。そこには何の物音もなく、何の動くものもなく、つめたい闇が、墓場の底のように静まりかえっていたのです。さっきまでの、目もくらむ光や、恐しい物音にくらべて、何というちがいでしょう。
でも、死んでいない証拠には、さわってみると、からだの下に、筏の材木がありました。