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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
とほうもなく大きなけだものの牙をならべでもしたように、切りそいだような岩山が、鋸型にズーッとつらなって、この世のはてとでもいうように、立ちふさがっているのです。
「ワー、すてき。すばらしい景色だねえ」
少年たちは思わず立ちどまって、その恐しいような、雄大な景色に見とれるのでした。
「アレ、変なものがあるぜ。なんだろう」
一郎君が指さすのを見ますと、湖のこちら岸の、でこぼこの岩の間に、妙な十字架のようなものが立っているのです。
その辺の立木を切ったのでしょう、丸太ん棒のまま十文字に縛りつけ、岩の間のやわらかい地面に立ててあるのです。その高さはちょうど一郎君の背の高さと同じほどでした。
むろんそんな十字架が、ひとりでに出来るはずはありません。やっぱりあの矢印をほりつけた、不思議の人物がたてたものにちがいありません。
三人はそのそばへよって、つくづくながめましたが、よく見ると、十字架の横の棒に、何か文字のようなものがほりつけてあります。日本語ではありません。横文字です。少年たちはまだ外国語を習っていませんので、どこの国の字だかよくわかりませんでしたが、たしかに外国語にちがいないのです。