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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
読者諸君はもうお気づきになっているでしょうが、この奇妙な帆船は海賊船だったのです。日本人が海賊などするはずはありません。支那人です。髭の船長というのが賊の首領で、三十人ほどの手下が乗っているのですが、みんな支那人なのです。水夫長と名のる男も、実は支那人なのですが、子供の時日本に育って、支那人とはわからぬくらい、うまく日本語を話すものですから、三少年は、そのたくみな日本語に、ついだまされてしまったのでした。
この海賊船は、南支那海から、蘭領東印度諸島や南洋の島々にかけて荒しまわり、自分より小さい、速力のにぶい船と見れば、おそいかかって、乗客の持物や積荷をうばい取り、ジャバ、ボルネオの不正商人に、それを売りわたして、恐しいお金もうけをしているのです。
そういう荒仕事をする船ですから、なかなか武器も揃っています。乗組員は皆一挺ずつ小銃と青龍刀を持っている外に、船の底に機関銃が二挺も隠してあって、いざという時には、それを甲板に持出して、相手の船をうちまくるのです。人の命をとることなど、なんとも思っていない、鬼のような悪者共です。
三少年は、入ってはいけない桟橋などを、ウロウロしていたばかりに、実に思いもかけぬ恐しい運命におちいってしまいました。