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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
もし穴の外にいるんだったら、いくら夜でも、かすかに何か見えるはずだからね」
哲雄君が考え深い調子で答えます。
「じゃ、どうしてこんなに水が動かないんだろう。まるで沼みたいじゃないか」
「それは、ここがちょうど淵のようになっているんだよ。川にだって、ちっとも水の流れない淵というものがあるだろう。あれだよ。ここは洞穴の中の淵にちがいないよ」
「まっ暗でわからないけれど、ここは広いのだろうか」
「どうも広そうだよ。僕はさっきから、銃を持って、岩にあたらないかと思って、さぐってみたんだけど、どこにもさわるものがないんだよ」
これは一郎君の声でした。
「あ、いいことがある。僕何か投げて、ためしてみるよ」
保君はそういったかと思うと、木箱のそばの鍋の中に入れてあった一枚の皿を取って、いきなり闇をめがけて投げつけました。
きっと岩にあたってくだける音がすると思ったのですが、そんなけはいはなくて、しばらくしてから、はるか向こうの方で、ドボンと水のはねる音がしました。
「よし、それじゃ、こっちの方だ」
と、又別の皿を取って、反対の方角へ投げましたが、今度も同じように水音がするばかりでした。