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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
太陽は見る間に波を離れて、水平線の一メートルほど上に、真赤なお盆のような姿を見せています。空は一面に明るくなって、暗かった西の方の水平線も見わたせるようになりました。
ところが、どうしたというのでしょう。東にも西にも北にも南にも、ただ糸のような水平線がつづいているばかりで、陸地らしいものはどこにも見えないではありませんか。
三人はびっくりして、青ざめた顔を見合わせました。そして、自分達の目がどうかしたのではないかと疑うように、しきりと目をこすりながら、遙かの水平線を探しつづけました。
「ア、あれだよ、ホラ、あれは雲じゃないよ。たしかに陸地だよ、きっとあれがセレベス島にちがいないよ。でも、遠くまで流されたんだねえ。もうとても、あすこまで帰ることなんか出来やしないよ」
哲雄君が、ズーッと向こうの水平線にかすんで見える、長い陸地らしいものを指さして、涙ぐんで言いました。いつの間に、こんなに遠く流されたのでしょう。三人はまるで夢を見ているような気がしました。
それにしても、なんという海の広さでしょう。世界中が空と水ばかりになってしまったようで、そのまん中に、ポツンと小さな小さなボートが浮かんでいるのです。