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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

やっぱり日本の国籍に入れてやって、日本の名で呼びたいのですが、いろいろな危難にあって、まだ犬の名をきめるひまもなかったのです。

「こまったな、あの犬、なんて呼んだらいいんだい。かまわないや、僕ん家の犬の名をつけちまえ。オーイ、ポパイ、ポパイ、ポパイ――!」

保君がおどけた調子でさけびました。保君のお家の犬はポパイという名だったのです。あの漫画映画の豪傑のポパイから取ってつけた名です。

「変なの。ポパイっていうのかい?」

哲雄君が、ちょっと不服らしくいいましたが、保君は耳もかさず、ポパイポパイとよびつづけています。保君にしては、ポパイはどんな相手にもまけない豪傑で、その上なんとも言えない親しみがあって、こんないい名はないじゃないかと考えているのです。

三人は犬を呼びながら、林の奥へ入って行きました。そして、椰子の林をぬけますと、そのへんからだんだん背の低い木が多くなって、それが向こうの山の大森林へとつづいているのですが、むろん道があるわけでなく、木のしげみが深くなるにつれて歩きにくくなり、むやみに入って行っては道に迷いそうで、もう進むことも出来なくなってしまいました。