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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
その花の大きさは、目分量で四五十センチもありそうです。
熱帯には大きな花が咲くと聞いていましたが、こんな美しい花の咲く木は、話に聞いたことも、本で読んだこともありません。
「オヤ、あの花うごいているよ」
いちはやく、それを見つけたのも哲雄君でした。
「エ、花が動くって?」
「ホラ、あれだよ。ピクピク動いている。ア、ごらん、あの花、みんな動いているよ。生きているみたいだねえ」
「ほんとだ。生きている。ア、飛んだよ、空へ飛び上ったよ」
不思議、不思議、まっしろな花がパッとはねをひろげて、空高くまい上ったではありませんか。三人はそれを見てあっけにとられてしまいました。花がひとりで動いたり、飛んだりするなんて、まるで魔法の国へでも来たようで、おもしろいよりは恐しさが先にたつのです。
「ア、わかった。あれ鳥だよ。まっしろな鳥が、一ぱいあの木にとまっているんだよ。見ててごらん」
一郎君は小石をさがして、いきなり、勢こめてその木の方へなげつけました。遠くなので、石は木までとどかないで落ちましたが、でも、その物音におどろいたのか、今まで花と見えていた白いものが、一度にパッと、花ふぶきのように飛立って、やがて又別の木に、花が咲くようにとまるのでした。