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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
その船の中に、誰か生き残っているのではないかと思ったからです。しかし、二三度呼んで、しばらく待ってみても、何の答もありません。
波もなく、風もなく、シーンとしずまり返った海面に、雲一つない青空を背景に、大昔の建物ででもあるように、ところどころこわれた三角がたの舳先が、ニューッとそびえているありさまは、何だかこわいようです。
「誰もいないのだろうか」
「みんな死んでしまったのかも知れないね」
「気味がわるいね」
三人はヒソヒソとささやきかわして、顔を見合わせていましたが、いつまでもそうしているわけにも行きませんので、思いきって、船の中をしらべてみることにしました。
そこで、ボートを難破船につけて、急な坂道のようにかたむいている甲板の上へ、一人ずつはいのぼって行きました。甲板は嵐のためにひどくあらされて、船内へ下る昇降口のふたなども、どこかへふっ飛んでしまっていて、穴蔵のような口がポッカリ開いているのです。
三人は気味のわるいのをがまんして、その昇降口の急な梯子を、暗い船内へとおりて行きました。そして今にも恐しい人間の死骸にぶつかるのではないかと、ビクビクしながら、廊下のようなところや、小さな船室などを、次々と見てまわりました。