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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

今の三人には、どんなごちそうでも、果物でも、お菓子でも、あのすきとおったつめたい水ほどおいしくはないように思われました。

「水でも火でも、僕たち日本にいる時は、なんでもないように思っていたけれど、ほんとうに大切なものなんだね」

一郎君が感じ入ったようにつぶやきました。

「ウン、そうだね。もし僕がお金持だったら、今コップに一ぱいの水をくれれば、一万円だって出すよ。マッチだってそうだ。一本のマッチが一万円したってやすいもんだよ」

保君がまじめな顔でいいました。

少年達は、まるでただのように思っていた水や火が、人間にとってどんなに大切なものだかということを、今こそつくづくと、身にしみて感じたのでした。

「でも、水の方は探せばきっとあるよ。あんな高い山や森があるんだから、川が流れていないわけはないよ。もっとよく森の奥を探せば、きっと川か泉があるにちがいないよ」

哲雄君がいいますと、保君はすぐそれを引きとって、にわかに元気な声を出しました。

「そうだ。もっと探せばいいんだ。じゃ、僕たち今から川を探しに行こうよ。あの銃を持ってね。猛獣に出くわすと大へんだから。……一郎君、君はよくお父さんの銃猟について行っていたから、銃のうちかた知ってるだろう」