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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
日の丸
「ウン、知ってるよ。銃を持って行こう」
「それじゃ、君たち二人で行って来たまえ。僕はその間に、火をこしらえておくよ」
哲雄君が意外なことをいい出しました。
「エ、火を? 君何か考えがあるのかい」
「ウン、ちょっと思いついたことがあるんだ。きっと君たちが帰るまでに、火を燃やして見せるよ」
哲雄君は自信ありげに、ニッコリ笑って答えました。
そこで、一郎君と保君は犬のポパイをつれて、森の奥へ川を探しに出かけることになったのですが、うまく川が見つかるでしょうか。いや、それよりも、哲雄君はいったいどんな方法で火を燃やすつもりなのでしょう。「マッチがなくて、火を燃やす法」なんて、そんな魔法のようなことが、ほんとうに出来るのでしょうか。
日の丸
一人洞窟の中に残った哲雄君は、何を思ったのか、難破船から持ちかえった双眼鏡を手にとって、しばらく考えていましたが、やがて、
「双眼鏡もだいじだけれど、ナアニかまわないや。片方の筒だけこわしたって、もう一つの方で見られるんだから」
と、ひとりごとをいいながら、何か決心した様子で、そこにあった料理用のナイフをとると、いきなり双眼鏡の片方の筒をこわしはじめました。