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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
11 第十一分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 页
「この武器、この士魂も、いかにせん」
と、城将の不破広綱は、筏に白旗をかかげて、みずから秀吉の陣に赴き、
「自分の一命をもって、城中二千の生命は、お助けねがいたい」
と、降を乞うた。
秀吉は、乞いをゆるし、城兵すべてを、解散した上、一柳市助の部隊を入れて、不破広綱にむかっては、
「城兵から見れば、御辺は、二千の生命の恩人じゃ。とく退散せよ」
と、役をも解いて、放してやった。
秀吉は、多芸郡の要所に、後日のための塁を築かせて、十三日、大垣まで帰った。
大垣の城では、さっそく遺族の――勝入の母や、妻と会い、
「日のたつほど、お淋しくあろ。しかし、末たのもしき三左衛門輝政や長吉もおること。なお若木の育ちを楽しみに、四季の花々なども見て、余生を仲よくお暮しあれよ」
と、なぐさめた。
さきの慰問使といい、こよいのことといい、老母も、勝入の妻も、みじんの悔いものこせなかった。秀吉はまた、輝政、長吉の兄弟をよんで、
「しっかりやれよ」
と、励まし、その夜は、自分も家族の一人となって、勝入のおもい出ばなしに夜を更かした。
「この筑前も、小男の方じゃが、勝入も小男じゃったな。