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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
08 第八分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 页
光春は、それを皆、叔父の長閑斎に頼んで、騒ぎ乱れぬように、本丸の広い一間に寄せ集めさせたのである。長閑斎の役目はなかなか難しくて辛いはずだった。しかしこの老人は辛い顔も悲しい容子もしていない。例のとおり子らと戯れながら、何度にもわたって、橋廊下を往復し、やがて滞りなく奥の者を全部、ひとつ広間にあつめた。
「賑やかなことじゃな。このような多数の道づれでは、どこへ参ろうと、淋しゅうない」
彼は、その真ん中に坐って、たえず何か喋舌っていた。
けれど多くの女性は泣きぬれている。それが子たちの童心をも異様にしめやかにするので、いつもなら彼の肩や膝に取りついて忽ち、よい遊び相手とせずに措かない子らも、各※(二の字点、1-2-22)、その乳母やその母の側にすがって離れなかった。
「叔父上、みな、お揃いなさいましたか」
やがて光春はそれへ臨んで、光秀の夫人へむかい、
「はや敵は、城下近くに迫りました。いまはお心措きなく、お始末遊ばしますように。――光春もすぐおあとを慕うて参りますれば」
と、最期をうながした。
光秀の夫人は、わが子、身寄りの子など、幼い者を左右に置いて、光春の妻と並んでいたが、