轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

08 第八分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 页

青空文庫

何しても、この朝の勝家の渋面といったらない。

“複雑なる不機嫌”さである。生理的には、ゆうべは一睡もしていないし――それもある。

玄蕃にいいふくめて、途中に兵を埋伏し、夜逃げの秀吉を急襲して、一挙に後の禍を絶ち、ここ腹いッぱい溜っている鬱を晴らせるものと、夜明け方まで、

(今か。今に)

と、首を長くしていた吉報が、やがて戻って来た玄蕃自身の口から、

(通ったのは、羽柴の家中だけで、秀吉のすがたはその中に見え申さぬ。――秀吉も居ぬ行列へ、不意撃ちを仕掛けたところで、獲るものはなく、却って、後日の不利と存じましたゆえ、むなしく引き揚げ申してござる)

とあったので、勝家は夜来の気づかれと共に、まったく心を腐らせてしまったものであった。

その揚句は、玄蕃にまで、「いつもの癖」だとか「智を構えてみずから智にやぶるる者――」だなどと、あげつらわれたのであるから、今朝の彼が怏々としてすぐれないのは無理もなかった。

しかし、そうしてはいられない。きょうは三法師の承祖披露の祝日である。朝飯後、一睡一浴して、勝家はまた暑くるしい大紋烏帽子を身にまとっていた。そして、たてがみ飾りをした馬に乗って城へ向っていた。