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にほんせいしんしけんきゅう
日本精神史研究
和辻 哲郎
推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页
しかもそれは、世の智慧を離脱し得ない自分にとっては、確固たる確信の根とはならないのである。自分がそれをつかもうとするとき、確かにそこには一切の「根源」がある。それは自分の生命でありまた宇宙の生命である。あらゆる自然と人生とを可能にするところの「一つ」の大いなる命である。それは永遠なる現在であり、この瞬間に直感せられ得るものである。が、かく理解せられたものは、祈りの瞬間に感ぜられるあの暖かい、言うべからざる権威と親しみとを持った「あのもの」ではない。自分の「あのもの」は、「アバ父よ、父には能はぬことなし」というごとき言葉に、「御意のままをなし給へ」という言葉に、はるかに似つかわしい表現を得る。しかしこれらの言葉の投げかけられたあの神は、自分の神ではない。「あのもの」は畢竟知られざるある者である。
自分はロゴスの思想に共鳴を感ずる。不断に創造する宇宙の生命の思想にも共鳴を感ずる。時にはかくのごとき全一の生がたとえば限りなく美しい木の芽となって力強く萌えいでてくる不思議さに我れを忘れて見とれることもある。しかしこの種の体験は自分の内に真理を植えてはくれない。