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にほんせいしんしけんきゅう
日本精神史研究
和辻 哲郎
推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页
二 道元の修行時代
あらゆる既成の宗教を特殊な形と認めるものには、宗教もまた人類の歴史の一部分である。
二 道元の修行時代
ある時、建仁寺の僧たちが師栄西に向かって言った。「今の建仁寺の寺屋敷は鴨河原に近い。いつかは水難に逢うでありましょう。」栄西は答えた。「自分の寺がいつかは亡び失せる――そんなことを考える必要はない。インドの祇園精舎は礎をとどめているに過ぎぬ。重大なのは寺院によって行なう真理体現の努力である。」
ある時一人の貧人が建仁寺に来て言うには、「私ども夫婦と子供は、もはや数日の間絶食しております。餓死するほかはありませぬ。慈悲をもってお救いくだされたい」。栄西は物を与えようとしたが、おりあしく房中に衣食財物がなかった。で彼は、薬師の像の光の料に使うべき銅棒を取って、打ち折り束ねまるめて貧人に与えた。「これで食物を買うがよい。」貧人は喜んで去った。しかし弟子たちは承知しなかった。「あれは仏像の光だ。仏の物を私するのは怪しからぬ。」栄西は答えて言った。「まことにその通りである。が、仏は自分の身肉手足を割いて衆生に施した。この仏の心を思えば、現に餓死すべき衆生には仏の全体を与えてもよかろう。