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にほんせいしんしけんきゅう
日本精神史研究
和辻 哲郎
推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页
如浄を中心とする天童禅院の雰囲気もまた彼に力強い影響を及ぼした。彼はいう、――大宋国の叢林には、末代といえども、学道の人千人万人を数える。その中には遠国の者も郷土の者もあるが、大抵は貧人である。しかし決して貧を憂えない。ただ悟道のいまだしきことをのみ憂え、あるいは楼上にあるいは閣下に、父母の喪中ででもあるかのごとくにして、坐禅をしている。自分が目のあたり見た事であるが、ある西川の僧は遠方よりの旅のために所持の物をことごとく使い果たして、ただ墨二、三丁のみを持っていた。彼はそれをもって下等な弱い唐紙を買い、それを衣服に作って着た。起居のたびごとに紙の破れる音がする。しかし彼は意としなかった。ある人が見かねて、郷里に帰り道具装束を整えてくるがいい、とすすめると、彼は答えていう、「郷里は遠方だ。途中に暇をかけて学道の時を失うのが惜しい」。こうして彼は寒さにも恐れず道を学んだ。こういう緊張した気分のゆえに、大国にはよき人が出るのである(同上第六)。同様にまた彼はいう、――大宋国によき僧として知られた人は皆貧窮人である。衣服もやぶれ、諸縁も乏しい。天童山の書記道如上座は官人宰相の子であったが、親類を離れ、世利を捨てたために、衣服のごときは目もあてられなかった。