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にほんせいしんしけんきゅう
日本精神史研究
和辻 哲郎
推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页
(ロ) 仏性
の道にいで立つことはできる。礼拝すべきものを持ち得ることは我れらの幸いである、――平等の後にさらに非平等を、価値の段階を、認め得ることは。かくて我々は、高き意味における貴族主義が、経済的政治的及び宗教的の平等主義よりもさらに根本的であることを認めざるを得ない。
(ロ) 仏性
教祖の権威に対して敬虔であった道元は、仏教思想史上重大な論議を生んだ「仏性」の問題に論及するに当たっても、主として歴史的な顧慮の上に彼の論をきずいた。すなわち彼は十四段にわたって歴史的に有名な仏性の言説を注解し評論するのである。しかし彼の目ざすのは、それらの言説がその説者によって実際にどう意味せられたかではなく、彼の立場より見てそれがいかなる意味を持つべきかである。従って歴史上の諸言説は彼自身の思想の組織に化せられた。彼にとっては論理的の真以外に歴史的の真はあり得ない。
彼が『正法眼蔵仏性』においてまず考察するのは、「一切衆生、悉有仏性、如来常住、無有変易」という涅槃経(巻二十五、師子吼菩薩品の一)の言葉である。「一切衆生、悉有仏性」は、通例、「一切衆生、悉く仏性有り」と読まれる。