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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页

青空文庫

ここに踊りの発達と、踊りが音楽から離れることのできない性質とが交叉する。もし日本に器楽が発達したならば、踊りはそれと結びついたであろう。しかし器楽のない日本では踊りは唄から離れることができない。そこで歌詞の束縛の最も少ない唄――歌詞がむしろ踊りに奉仕する唄が求められる。意味の連関の弱い、点描的な情調詩は、ちょうどこの要求にあてはまる。かくして詩と音楽と踊りとの渾融した芸術ができあがってくる。こう見れば、長唄だけを離して唄うのは、この芸術の美点をそぐものである。

が、我々はこの渾融した芸術が音楽と踊りとの二方面に純化して行くことをもまた望まなくてはならない。ただその場合には、単なる分離でなくして進化が必要である。長唄はリイドとして、より純粋になることを要する。すなわち音調の美と狭斜の情調とを中心にする歌から、――踊りのための歌から、――より深い感情を現わした歌に移り、そうしてそれにふさわしい旋律の深化と解放とを要する。また踊りは、言葉との密接な関係を離れて――すなわち言葉を身ぶりに翻訳する在来の方法から離れて、純音楽を伴奏とするより象徴的なものに進まなくてはならない。