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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页

青空文庫

もしここに神聖な権威の結紐が破られたならば、国家的な統一もまたともに破れ去らなくてはならぬ。朝鮮半島との軍事的接触はやがて西方の文化との密接な関係を喚び起こし、この方面からも素朴な原始的統一は脅かされ始めた。この時、かつて祭事の総攬として立てられた統一をさらに経済的兵力的な権力によって確保しようと努力したものが、大臣大連の政治である。古き物語や書紀の記録などはともすればこれらの大臣大連の事蹟をただ家庭的私事の方面のみから観察しようとするが、事は朝鮮半島の南端より関東地方にまでわたる一つの国家の統一に関する問題であって、大和における私闘私事の問題ではない。当時の歴史家が大きい事蹟を私人的にしか把握し得なかったという歴史記述上の能力と、当時の政治家が右のごとき国家の全範域にわたって中央政府の権力を確立しようと努力したという実際生活上の能力とは混同してはならない。

我々はこの時代における大臣大連らの事業を書紀における短い断片的な記録から再建することができるであろう。雄略朝以後、特に継体朝以後推古時代までの間には、これらの大臣大連は西方文化との接触と中央集権の努力とをその活動の枢軸としている。