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しゅんせつのでわじのみっか
春雪の出羽路の三日
喜田 貞吉
「社会史研究 第九巻第六号」1923(大正12)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,521 字 · 33 页
広々とした庭園を控えた、至って宏大なものだ。同君はもともと庭園と読書とに趣味を有せられているそうで、邸内の林泉は川に跨って設計せられ、よほど趣向を凝らされたものらしい。しかし、なにぶん今もって深く雪に埋められ、庭木を保護する雪除けの筍が、雪中にいくつも突っ立っているほどの有様なので、地面の上の様子は少しもわからず、ただその大規模なところを拝見したに過ぎなかった。同君が駅前の丘陵一帯を公園とされようというのも、やはりこの趣味からであろう。同君の蔵書もかなり多いもので、今なお新刊書などを盛んに買い込まれ、行く行くは一の図書館として公開せられるおつもりらしい。本宅からは大分離れた一棟の土蔵をそれに当てておられるのは結構なことだ。蒐集家はすべからくこれだけの心懸けが必要である。多数に古器物や珍籍を集めていたがために、火事のさいに一度にそれを焼いてしまうというようなことは、確かに一の罪悪だ。しかして昨年この罪悪を犯して参考書に不自由な深沢君は、江畑氏のこの書庫について書籍の整理や、目録の調製かたがた、閲覧研究を重ねておられる。同君希望の書籍はなんでも江畑文庫に供えてくれられるとのことだ、深沢君もよい文庫を控えられたものである。