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しょうわよねんのぶんだんのがいかん
昭和四年の文壇の概観
平林 初之輔
「新潮 第二六年第一二号」1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,557 字 · 29 页
四 ナンセンス文学
が流行したことがある。これは官憲の取り締まりのためもあって、最近あとをたったが、あの「告白物」は、事実らしく見せかけたつくり話であることが多かったということである。実話文学の落ちつく先もそうした経路をとるより他はあるまい。それよりも私には『婦人公論』の、新聞で問題になった事件の当事者の感想的告白の方が遥かに生々しいという点で興味があった。無論これらは、文学の問題として論ずる問題ではないであろうか。
四 ナンセンス文学
同じく末期的文学の一つの現象として、ナンセンス文学をあげることができるであろう。これは、ある一つのレジームの末期にいつでもあらわれる軽文学の、最新の形態である。これはまだしかし日本では地についていない観がある。主として『新青年』によるフィッシュ兄弟とかウッドハウスのごとき、外国の作家の作品の輸入、ならびに外国の笑い話の翻訳によって一つの読み物のカテゴリーを形成している現状に過ぎない。日本人のナンセンス文学にはどうも重苦しい、封建的詮めの伝統を脱しきらないところがあって、たとえば佐々木邦の滑稽小説にしても、新時代の精神に触れていない。鈍重で、陳腐である。