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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

「こんどは腕をぐっとのばして、はかってごらん」

すると、指の間は五六粍になって、月の大きさが豌豆ほどに大きくなりました。

「どうだね、ちょっと驚くだろう。こんど、君の友だちにためしてみるといい。腕を一ぱいにのばして、指で月の大きさをはかったら、月はどのくらいに見えるだろうって、たずねてみるんだね。実際にやってみれば、すぐわかるから、やってみない先に、答えさせるんだよ。たいていの子供は、五十銭玉ぐらいだろうとか、腕時計ぐらいだろうとか答えるよ。そういうのはまだいい方なんだ。ひょっとすると、茶碗ぐらいの大きさに見えるなんていう答もとび出してくるよ。たいへんなちがいだ。ほんとうは豌豆つぶぐらいなんだからね。君の友だちにはこれを言いあてる者はまずいないね。大人だって、うまく答えられる人は少いんだからね。

さあ、これで実験はすんだ。こんどは僕の方でたずねる番だよ。いったい、これはどういうわけだろうね。月の見かけの大きさと、筒でのぞいた時と、どうしてこんなにちがうんだろうね。一つ考えてごらん」

一太郎君は、ぱっと顔を赤くしました。恥ずかしくてではありません。うれしくてです。