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ほんしゅうおうだん かんしゃくとほりょこう
本州横断 癇癪徒歩旅行
押川 春浪
「冐險世界 第四卷第拾貳號」博文館、1911(明治44)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,749 字 · 45 页
ものと見え、孰もムクムクと頭を擡げて、
「何時だ何時だ」
「まだ三時だが、もうそろそろ出立と致そう」
「よかろうよかろう」と、一同も起上り、着のみ着のままで寝たので身仕度の手間は入らず、顔を洗おうにも水はない。また握飯はオジャンとなったので朝食の世話もないが、今日の行程は七里以上、何も食わずでは堪らぬと、昨夜咽を渇かしたにも懲りず、またしても塩からいコーンビーフに些か腹を作り、氷砂糖などをしゃぶりつつ、出発の用意全く出来上ったが、ここに困った事には、例の剛力先生、今日のお伴は真平だといい出した一件で、
「こんな苦しいお伴をした事は生れて初めてだ。荷物の重いばかりでなく、箆棒に前途ばかり急いで、途中ろくろく休む事も出来ねえ。どこまでも付従いて行ったら生命を取られるかも知れねえだ。俺達はここから帰る帰る」
とダダを捏ねている。
「そんな事をいっては困る。この深山で置いてきぼりを食っては、麓へ降りる道も分からないではないか。今日は荷物もウント軽くしてやる。ゆっくり休ませてもやるから、ぜひ行ってくれ」と頼んでも、
「厭だ厭だ、ここで御免蒙るだ」と、いつまでもグズグズいっているので、吾輩大いに腹を立て、