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とうきょうじんのだらくじだい

東京人の堕落時代

杉山 萠円

「九州日報」1925(大正14)年1~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,226 字 · 247 页

青空文庫

眼と眼――心と心

新聞、ビラ、掲示なぞを気をつけていれば、すぐにわかる。東京市中で毎日十箇所を下るまい。

これが少年少女の落ち合い場所になり勝ちである。人に怪しまれずに見に行けるし、いつまでも相手を待っていられる。来れば何やかや見るふりをして、極めて自然に寄り添えるといったようなわけである。

学校の運動会も、この頃は異性の入場を許す傾向になった。許すと素敵にハズムという。

剛健質朴を以て天下に鳴った一高の生徒たちにカルメンと持てはやされる一人の少女が居る。昨年あたりは、学生仲間の会合や催しによく顔を出したものだそうな。一説には、これが、現在、東京で最も有力な不良少女団の団長だともいう(後に詳しく説明する)。が、そこを特に突止め得なかったのは惜かった。

眼と眼――心と心

近頃は福岡にも出来たが、東京のカフェーその他の飲食店では、テーブルとテーブルの間を仕切るのが流行る。そこにはよく若い男女が同席してヒソヒソやっている。

東京の市内電車が素敵に混雑むのも便利である。同じ吊り革にブラ下ったり、膝っ小僧で押合ったり、いろんな事が出来る。

省線の電車も朝と夕方は一パイである。