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とうきょうじんのだらくじだい

東京人の堕落時代

杉山 萠円

「九州日報」1925(大正14)年1~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,226 字 · 247 页

青空文庫

おいらのせいじゃない

女なんて、そんなつまらないものかしら。

そんなら独立するとすれば――職業婦人にならねばならぬ。内的にあらゆる誘惑と戦って――外的には男子と実力の競争をして――そんな事が妾に出来るか知ら――妾の趣味、智識の内容にそんなねうちがあるのか知ら――。

今の東京はそんな悩みを刺戟する最新、最鋭の材料に満ち満ちている。

こんな悩みが深ければ深いだけ、それだけ少女の頭に湧く空想や妄想が殖える。次第にセンチメンタルになり、神経衰弱になり、刹那の感興に涙ぐんだり狂喜したりする傾向が極端になる。そうして欺され易く、感化され易くなる。又は悩み抜いた揚句が、投げ遣りの自堕落になる。

いずれも不良の原因である。

こうして一度傷ついた彼女の心の痛みは、だんだん早い速力を持って彼女を不良の谷に引き落す。

おいらのせいじゃない

すべての子女は、親よりも純清な心を持っているにきまっている。それが不良になるのは、家庭と社会の欠陥――即ち大人の不始末からである。

先天的の不良性でも、それは矢張り数代、もしくは数十代前からの大人の不仕鱈が遺伝したものである。子女の不良を責める前に、大人は先ずこの事を考えねばならぬ。