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とうきょうじんのだらくじだい

東京人の堕落時代

杉山 萠円

「九州日報」1925(大正14)年1~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 123,226 字 · 247 页

青空文庫

バラック都市の夜の光線と処女達の美

着物の柄は調和を破る位に極端な取り合わせを用いなければ引っ立たなかった。それは趣味の低い彼女たちにもよく理解される趣味であった。

バラック都市の夜の光線と処女達の美

彼女達職業婦人が真面目な仕事をする時間は大抵昼間である。したがって、彼女達がその持ち前の美を自由に発揮する時は夜である。

然るにバラック都市の夜の光線は、水蒸気の多い日本の昼間の光線がすべてをドス暗くみじめにすると正反対に、華やかである。だから彼女たちの姿が、夜の光りに調和すべく、仰山に毒々しくなって行くのは止むを得ないであろう。

その真似をして真昼間の平和な町をあるく九州地方の婦人の姿が、如何に不気味に阿呆らしいかは皆さん御承知のところであろう。

神田の或る美容術師はこんなことを云った。

「田舎へのお土産に東京の最新式の髪をという意味の御注文がよくあります。しかし東京式の結い方はあまりお上品向きでありませんから、お客様のお姿や服装から御家庭をお察しして、苦心しいしい調和よく結って差し上げますと、どうも御気に召しません。反対に職業婦人風にして差し上げますと、一も二もなくお喜びになります。